
(2012年5月号)
作業を任せるだけで人は育たない!
ダイバシティ時代の育成は「価値観の共有」がカギ
フィールワークス 代表取締役 兼 青山学院大学兼任講師
前川孝雄氏
就労人口の3人に1人以上が非正規雇用者の時代だ。雇用形態の多様化は、「上司の背中を見せて育てる」「報酬やポストでモチベーションを管理する」という従来型マネジメントを難しくした。人材育成や組織活性化に関する支援を進めている前川孝雄氏は「働き甲斐を感じさせる新たな動機づけが欠かせません。同時に、環境が異なる個々人の感情に配慮することが必要になっています」と指摘する。
フィールワークス 代表取締役
| 1966年9月 | 兵庫県生まれ |
| 1989年3月 | 大阪府立大学経済学部卒業 |
| 1989年4月 | リクルート入社 |
| 1997年3月 | 早稲田大学大学院ビジネススクール マーケティング専攻 卒業 |
| 2007年12月 | リクルート退社 |
| 2008年2月 | フィールワークス設立 |
- 前川
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バブル崩壊以降、企業のコスト抑制は留まるところを知らず、ついに90年代後半には“聖域”である人件費に対しても手をつけはじめました。年功序列や終身雇用を廃止し、非正規雇用の比率を上げることで、人件費をできるだけ流動費化したのです。これにより雇用のダイバシティ(多様化)が生まれ、それにマッチしたマネジメントの実践が必要になりました。さまざまな雇用形態の人がともに働くことは、微妙な人間関係の難しさも生むため、マネジメントは容易ではありません。多くの管理者が頭を抱えています。
- 前川
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従来の、正社員中心で年功序列という環境では、頑張ればポジションや給料が上げる動機づけ、いわば「外発的動機づけ」が可能でした。非正規雇用のスタッフに対して、それはできません。働いている側も、それを強く求めていないことすらあります。そこで必要になるのが、「内発的動機づけ」です。心の底から「この仕事がしたい」「この仕事が楽しい」「このチームで働くことがワクワクする」という状態を作ることが必要なのです。この状態を支えるものは、所属している組織やチームの目的が「(社会的に)いいことをしている」「誰かの笑顔につながっている」という思いと、自分がそのなかで確かに役割を持っていると感じる「自己効力感」の2つです。
目的を明示し「提案」を促す
- 前川
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確かに、職種や雇用形態、ライフステージや人生観などが異なれば、仕事の意味づけは異なるものです。とはいえ、どんな仕事にも必ず重要な意味があり、それを経営者や現場のマネージャーがメッセージとして伝えることで共有できるはずです。繰り返し、継続して自分たちの仕事の目的や、会社の中の役割、成果を伝えるべきです。作業の指示にメッセージを織り交ぜることも必要です。作業だけを任せていては、人は育ちません。作業が目的化し、一生懸命取り組みはするが、工夫がなく進化を促せないのです。指示する側は作業とともにその目的を伝え、「そのためにこの作業があるので、君なりの工夫で改善できそうなら提案してほしい」という対話を繰り返すことで部下を長期的に育成することができるのです。


